幼い頃、白衣の傷痍軍人が駅頭などで物乞いをしていた記憶があります。 決して裕福ではなかった母が、「ご苦労様でした。」と言いながら首から下げた箱に現金を入れても、彼らは全く笑顔など見せずに無表情な会釈を返すだけでした。 「お国を護るためにあんな大怪我をしはったんよ。」と教えてもらったが、片腕や片足がない人も居り、無表情で、アコーデオンの奏でる音楽も物悲しく、一刻も速くその場を立ち去りたかったことを鮮明に思い出します。 母の「お国を護った…」との説明と、幼心に感じた四肢のない恐ろしさと不憫さがどうしても釣り合いませんでした。 まだ小学校にもあがる前で、どうして「お国のために」負傷した軍人が物乞いを …
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