お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

【城の歴史17】楠木正成は「悪党」だったのか?

後醍醐天皇に忠臣を尽くした楠木正成は「悪党」の親玉のひとりと言われています。正成は悪党だったのでしょうか? 鎌倉時代後期になると「異類異形(いるいいぎょう)」の風体をした集団が現れます。彼らは非人の象徴である柿色の衣をまとい、烏帽子を付けず袴もはかず、笠をかぶって覆面を付け、大刀を腰に槍や棒を持ち、鎧は着けない軽装の、当時の人々から見ればまともな人間とは思えない姿をしていたと言います。 彼らは「悪党」と呼ばれる人々です。主人を持たず、所領を持たず、頻発する種々の荘園間の争いには傭兵として武力を提供しながら、やがて強大な勢力と財力を身につけていきました。 悪党といえば、一般的に「悪人」を意味する …

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