お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

【城の歴史11】源氏ゆかりの地を訪ねて

鎌倉幕府を開いた源頼朝(みなもとのよりとも)は、第56代・清和天皇の皇子・皇孫を祖とする「清和源氏(せいわげんじ)」の流れをくむ人物です。天皇の皇子が多数生まれてそのまま皇族になると、財政的にも逼迫し皇位継承問題で政治的混乱も招きかねません。そのために臣下の籍に降ろして、源朝臣(みなもとのあそん)姓を与えることで皇族から離脱させました。これを「賜姓源氏(しせいげんじ)」といいます。「源」はもちろん天皇と源を同じくするという意味です。この賜姓源氏は、第52代・嵯峨天皇の時代からはじまり、第106代・正親町天皇まで21の源氏の系統があるといわれています。頼朝は、清和天皇から賜姓された源氏ですので「 …

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