お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

明治以降に建てられた天守たち

江戸幕府が消滅したことで、城はその役割を終え、軍事施設としての城が築かれることはなくなりました。その一方、明治43年(1910)に岐阜城の山頂部に天守が築かれたのを皮切りに、観光目的や地域のシンボルとしての天守が各地に建てられるようになります。 今回は、江戸時代までの軍事施設の天守とは違い、主に観光目的で建てられた明治以降の天守をご紹介します。これらの天守は、現存天守と区別するために「再建天守」と呼ばれ、①木造復元天守 ②外観復元天守 ③復興天守 ④模擬天守の4つに分類されています。 全国には、およそ100の再建天守が存在します。再建天守は、再建された時代の世相を色濃く反映するとても興味深い建 …

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