お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

名古屋城の復元に考える、木造再建の必要性

名古屋城の天守を木造で復元する計画を知っていますか? 名古屋城は、慶長15年(1610)に徳川家康が築いた巨大城郭です。江戸時代には「御三家筆頭・尾張徳川家の居城」として栄え、明治維新後は陸軍省や宮内省の管轄で「鎮台」や「離宮」になるなど歴史の荒波に揉まれながら、天守は現存し続けました。その文化的価値が評価されて、昭和5年(1930)に城郭で初の国宝に指定されたのが名古屋城です。 この貴重な名古屋城の天守は、昭和20年(1945)5月の太平洋戦争の大空襲で焼失しました。焼け焦げた石垣だけが残るその姿を目にした名古屋の人たちは、胸が張り裂ける思いだったことでしょう。 名古屋城の再建の声は日増しに …

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