全日本作法会で20年以上、作法に携わり、企業や大学にてマナー研修を実施している筆者が送る日本の礼儀・作法に関するチャンネル。 一口に礼儀・作法といってもそこに隠されている、込められている日本の心、文化について発信していきます。
お正月に食べるお料理といえば、お節料理の他に「お雑煮」もあります。そもそも、「雑煮」というのは醤油や味噌で味付けした汁に餅をいれた日本料理の一種です。西洋料理に置き換えると、スープ料理の一つとなるでしょう。日本ではお正月に多く食べられ、雑煮に「お」を付けて「お雑煮」と称すると、お正月に食べる雑煮を思い浮かべます。有職料理(平安時代、貴族によって形作られた饗応料理)の中にも餅を入れた吸い物がありますが、雑煮とは言わずに吸い物としています。しかし、「ハレの日」に餅を食べる風習は平安時代からあったのでしょう。 室町時代の書物に「雑煮」という言葉が残されています。宴の最初に食べる縁起の良い料理とし …
お正月に食べる料理といえば「お節料理」です。昨今は家で作る家庭より、デパートなどで買い求める方が多いでしょう。家で作る方は、12月下旬から準備に追われると思います。本来は、各家庭で料理し、家庭の味が色濃く反映されているものでしょう。 そもそも「お節料理」とは何でしょうか。お正月だけのご馳走と思われていますが、「お節料理」の「節」とは「節供」を表しています。節供とは、五節供に代表されますが三月三日、五月五日など節目のことを言います。その日に神様にお供えしてから頂く料理が「お節料理」でした。それがいつからか、お正月のみの料理を意味するようになったのです。なので、本来はお雑煮も含まれます。 また、 …
11月の下旬になると、クリスマス飾りを目にするようになります。日本でも12月で最も大きな行事になって久しいです。12月になると、若い人だけではなく、街もCMもクリスマス一色になります。 一方、本来なら大きな節目である「冬至」は、当日少しニュースになる程度です。冬至とクリスマスは一日~二日違いとなっています。それは偶然なのでしょうか。 「クリスマス Christmas」は「キリスト Christ」の「ミサ mass」が語源となっており、日本においてはキリストの誕生日として広まっています。しかし、新約聖書には「イエス・キリストの降誕を記念する日」とあり、降誕日(誕生日)については記述されていない …
令和3年もあと、ひと月あまりです。12月、師走を迎えます。「師走」の語源はいろいろあります。俗に云われているのが、お正月前にお墓参りや仏壇に、僧侶によってお経をあげてもらうので、師は僧侶を指し、師が馳せる月という意味です。 または、一年が終わる月なので「年が果てる」が「年果つ(としはつ)」となり、さらに「しわす」と変化したという説。いずれにしても「師走」と聞くと何となく慌ただしく感じます。 そして、「年の瀬」という言葉を耳にするようになると、より慌ただしさが増してきます。「年の瀬」がいつからいつまでをいうのかは明確ではありません。だいたい12月中旬頃か大晦日までをいうようです。「瀬」は流れ …
現代は様々な結婚式の形があります。今回は日本における婚礼の歴史を考えてみたいと思います。 結婚式の起源は「古事記」のイザナギノミコトとイザナミノミコトが、天御柱を廻って出会ったところでお互いに愛を告白するという有名なお話にあるそうです。この有名な話が結婚式の原点と伝えられているのです。 ちなみに結納の最初は、仁徳天皇が息子の嫁に黒姫を迎える時に、贈り物をしたこととなっています。 現実の結婚式は奈良時代からのようです。男性が女性宅に3日間通い、3日目に女性側の親が二人を認めると「三日餅(ミカノモチヒ)」をふるまい、家族の一員として迎えました。この慣習は庶民から発生し、やがて貴族社会にも広ま …