お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

日本人の心に響く桜のはなし

少しでも日差しに春を感じると、やはり待ち遠しいのは「さくら」です。日本人は、本当に桜が大好き。桜を愛でる習慣は、日本の伝統文化のひとつです。 奈良時代からはじまった花見の風習は、貴族や武家など限られた人たちだけの楽しみで …

大阪城(大阪府)

少しでも日差しに春を感じると、やはり待ち遠しいのは「さくら」です。日本人は、本当に桜が大好き。桜を愛でる習慣は、日本の伝統文化のひとつです。

奈良時代からはじまった花見の風習は、貴族や武家など限られた人たちだけの楽しみでした。その花見が庶民にも普及するきっかけを作ったのは、江戸幕府8代将軍の徳川吉宗だったと言われています。吉宗が行った「享保の改革」では、緊迫する幕府財政を立て直すため、庶民にも厳しい倹約が命じられました。そんな強硬な改革に対する人々の不満を解消しようと、桜を植え、花見を推奨したのが吉宗です。それによって現在と同じく桜の下に集い、食べて飲んで笑って大いに楽しむ、おおらかな花見文化が出来上がりました。

公益財団法人日本さくらの会による「日本三大桜の名所」は、弘前城のある弘前公園(青森県)・高遠城址公園(長野県)・吉野山(奈良県)なのだそう。日本三大桜の名所に、なんと城が2つもランクインしています。桜と城は、日本人の心に響く最強コンビなのでしょう。
今回は、日本さくらの会の「さくら名所100選」に選ばれている関西の城をご紹介します。

1.長浜城(豊公園):滋賀県長浜市
江戸時代前期に廃城となった長浜城。その城跡に明治42年作られたのが豊公園です。長浜城主であった豊太閤:豊臣秀吉にちなんで「豊公園」と名付けられました。長浜城の天守から眺めるソメイヨシノは圧巻です。

2.彦根城:滋賀県彦根市
国宝の彦根城天守と、1,300本の桜の美しい競演が楽しめます。桜が美しいということは、もちろん紅葉も素晴らしい。秋の季節も楽しみな城郭です。

3.大阪城(大阪城公園):大阪府大阪市
大阪城公園では、約3,000本の桜が咲き乱れます。特に美しいのは、西の丸庭園から眺める「桜と天守と石垣」のコラボレーション。ライトアップされた夜の大阪城もおすすめです。

姫路城(兵庫県)

4.姫路城:兵庫県姫路市
言わずと知れた、世界遺産の姫路城。オールシーズン楽しめますが、やはりこの季節は格別です。姫路城はパワースポットと言われますが、天守と桜とご自身を一緒に写真を撮って、お部屋に飾ると最強にご利益があるのだそう。ぜひベストショットを撮ってみましょう。

5.明石城(明石公園):兵庫県明石市
立派な石垣と天守級の三重櫓が2つも現存する、美しい明石城。別名「喜春城」の名のように約1,000本の桜が春の訪れを喜んでいます。広い芝生エリアがあるので、レジャーシートを持参してのんびりお花見してみてはいかがでしょう。

6.篠山城:兵庫県篠山市
天守はありませんが、天下普請でつくられた豪華な石垣を堪能できる名城です。石垣に彫られた刻印を探しながら城内を歩いてみましょう。大阪中心部よりも遅くに満開を迎えるので、時期を替えて桜と城のコラボレーションが楽しめます。

大和郡山城(奈良県)

7.大和郡山城:奈良県大和郡山市
美しい石垣と「御殿桜」と呼ばれるソメイヨシノの競演は見応えがあります。この時期に開催される「お城まつり」では、金魚の品評会や子供たちの時代行列などの催しがあり、屋台も出て賑やかです。天守台にある石仏の転用石も探してみてください。

桜の品種改良が進み、江戸時代中期から末期にかけて「ソメイヨシノ」は誕生しました。自ら増えることのないソメイヨシノは、接ぎ木など人間の手を介してしか広まる手立てがないそうです。ということは、いま私たちが目にするソメイヨシノは、江戸時代から継承されてきた桜だということ。目に見える風景を楽しみ、自然を守ることは、日本の過去を未来につなげることなのかもしれません。
この季節ならではの贅沢な景色を探しに、日本の城に行ってみましょう。

お城カタリストの城語り 過去記事一覧

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

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