お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

天守代用の御三階櫓に込めた大名たちの静かな戦略

お城を歩いていると、天守の小型版のような建物に気づくでしょう。その建物は「櫓(やぐら)」です。 櫓は、古来「矢倉」や「矢蔵」と表記され、矢などを納めておく武器庫から生まれた建物です。高さのある建物なので見晴らしがよく物見に適しており、有事の際にはその高さを生かして攻撃の拠点にもなりました。また、武器だけでなく武具や兵糧など様々な物資を貯蔵するのも櫓の大きな役割です。 櫓には一階建ての「平櫓(ひらやぐら)」もありますが、基本的な構造は、二階建ての「二重櫓(にじゅうやぐら)」です。大阪城(大阪府)の乾櫓(いぬいやぐら)のように、城の内側を凹ませたL字型の珍しい二重櫓もあります。 天守が、軍事的な「 …

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