全日本作法会で20年以上、作法に携わり、企業や大学にてマナー研修を実施している筆者が送る日本の礼儀・作法に関するチャンネル。 一口に礼儀・作法といってもそこに隠されている、込められている日本の心、文化について発信していきます。
六曜をご存じでしょうか。大安とか、仏滅とかのことです。六曜は暦の暦注(日の吉凶)一つなのです。 現在も先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口と記載されているカレンダーもあります。冠婚葬祭の日を決めるのに拘ったりしますね。では、いつごろから六曜は日本で使われるようになったのでしょう。 六曜は唐の時代の天文学者、李淳風が発明したと云われていますが、起源ははっきりしていません。日本に入ってきたのは鎌倉時代とされていますが、室町時代に流入したようです。最初は「六壬時課(りくじんじか)」または「小六壬」と呼ばれ、時刻の吉凶を占うために用いられました。貞享年間頃(1684年~1688年)に日の吉凶を占うも …
お盆が明けると、地蔵盆の時期になります。「地蔵盆」とは、お地蔵様をお祀りする行事です。関西では盛んですが、関東ではあまり知られていないようです。発祥は京都だからでしょうか。 新暦の現代では8月23日、24日に開催されている地域が多いみたいです。とても地域性が濃い行事のひとつでもあります。また、子供が中心の行事です。それは、道端に存在するお地蔵様は、地域はもちろん子供たちの守り神だからです。子供たちでお地蔵様を供養する行事が地蔵盆というわけです。 地蔵盆が近づくと、お地蔵様を清め、前掛けを新しいのと取り換えたり、お地蔵様に化粧をしたりします。数珠回しといって、大きな玉の長い数珠を、老若男女 …
小学校で漢字を習ったとき、一つの漢字に「音読み」と「訓読み」があるのを知り、覚えたと思います。小学生の時は覚えることに必死なので、それを不思議とも考えませんでした。音読みとは漢字の生産国である中国の読み方。訓読みとは日本語での読み方。 我が国の最も古い歴史書である「古事記」は全文が漢字で記されていますが、読みは訓読みの日本語、いわゆる「やまと言葉」で表現されています。万葉仮名を用いているのです。万葉仮名とは、漢字の字義(意味)を無視して、漢字の音を利用して表現する文字のことです。私たちの遠い祖先が、漢字文化を受け入れても、民族が使っていた言葉を捨てずに、自分たちの言語で意味が合致する言葉を当 …
関西では8月がお盆です。東京は7月にお盆行事を行います。どちらが本当なのでしょうか。どちらも本当です。元々、お盆とは旧暦の7月15日でした。 新暦になってから、東京は同じ7月にお盆の行事をおこないます。しかし、新暦の7月15日は農繁期に重なるため一月遅れて8月に行う地域が多いのです。ただ、盆休みは全国的に8月という矛盾もあります。 矛盾はありながらも、「お盆」はお正月に次ぐ、大きな年中行事には違いありません。お盆とは何かと尋ねられたら、一言で答えるなら「亡くなった人が帰ってくる日」と語られます。仏教では「盂蘭盆会」が正しい名称ですが、これはサンスクリットの「ウランバーナ(倒懸・逆さ吊り)」 …
挨拶言葉は、時間帯、場面、関係性によっていろいろです。朝、人に会うと、「おはようございます」と声をかけます。この言葉は、「早くから動いて(行動して)おられるのですね」という意味を含んだ労いの言葉です。 お昼に会うと「こんにちは、お元気ですか」と挨拶を交わします。漢字だと「今日は」です。「今の日」今のお日様、太陽です。昔、また地域によっては太陽のことを「今日様」と呼んでいました。そうなのです、「こんにちは」は「太陽さん」という意味があるのです。「こんにちは、お元気ですか」「こんにちは、ご機嫌いかがですか」とお相手に投げかけます。そこには「今もお日様と一緒に生きておられて元気ですか?」「今もお …