短期大学卒業後大手地方銀行に長年勤務 着付けを習うことで、日本の文化に興味を持つ全日本作法会で20年以上、作法に携わる。 企業や大学にてマナー研修を実施
七五三の日はご存知でしょうか。昨今のお若いご両親はお子さんの「七五三」はなさいますが、十一月中に神社詣ですればよいと考えられて織られる方が多いのでは? もちろん、忙しい時代なのでご都合の良い時にされたらいいのですが、正式には七五三の日は十一月十五日となります。 徳川綱吉の長男である徳松君の宮参りを十一月十五日に行ったことが始まりという説が有力です。 では、何故十一月十五日なのでしょう。十一月は収穫の月です。そして、その年で十五日が「鬼宿日」となり、嫁取り以外は何をしても良い日だったのです。 そのうえ、十五日です。旧暦では十五日は満月。七五三は徳川時代が起原となっているので、関東の慣習として広ま …
1.結婚の作法 歴史からみる婚礼 時代によって結婚の形が変わってきています。奈良時代・平安時代は「婿入り婚」「通い婚」が主流でした。女性が、男性の申し出を受け入れ、婚姻関係が成立すると、男性が女性宅を訪れるという形です。 武家社会になると、反対に、女性が男性の家に入るという「嫁入り」が多くなります。室町時代には結婚の儀礼が確立し、一般庶民にも広がり、「嫁入り婚」が主流となり、現代までも続いています。 最近はほとんど「仲人」を立てませんが、かつては「仲人」を立てるのが一般的でした。「仲人」とは、男女の仲を取り持つ仲介者のことです。仲人は両家の身分や経済状態、職業などを考慮して男女の仲を取り持ち、 …
神道での儀式 人はどこから来て、命が絶えたらどこへ行くのでしょうか。 体は借り物、と祖母が言っていたのを思い出します。借り物の身体が機能しなくなったら、魂はどこへ帰るのでしょう。どこにも帰らず、大切な人の傍に居続けるのでしょうか。 これは人間の永遠の疑問です。輪廻転生は本当にあるのか。あの世の存在を信じるのでしょうか。さて、人生最後の旅立ち、最後のお別れの儀式について考えてみることにします。 そもそも儀式には国によって、また、宗教や地域によって違いがあります。神道も仏教伝来以降は宗教として認知されています。日本古来の宗教、神道には明治時代までは葬式が在りませんでした。死は「穢れ」なので、神を祭 …
袱紗に包むのは何故? さて、儀式の時の金子は祝儀袋などに入れて、その袋ごと「袱紗」と言われている布に包んで持参するのがならわしです。金子を現代は封筒のような袋に入れますが、元々は白い紙に包むというのが正式です。お金はいろいろな「念」が付きやすいので、その念を浄化するために白い紙に包むという慣習が生まれたのです。白い紙に包んで、水引を結びます。白い紙が祝儀袋・不祝儀袋とでは包む形が違っています。お相手には袋ごと渡しますので、その袋が汚れないように、うえから布に包むのです。 贈り物を先方に届ける際には、広蓋(ひろぶた)といわれる塗のお盆の上にのせ、塵よけに袱紗をかけ、さらに風呂敷で包んだのです。お …
前回は袱紗について述べました。今回は、その袱紗の中身、お金を包む紙についてです。金封ともいわれていますが、大きく分けると、祝儀袋・不祝儀袋に区別されます。 まず、祝儀袋についてです。人生において、様々な祝い事があります。中でも大きいのが「結婚」ですね。 結婚祝いの祝儀袋 ・水引は紅白、金銀の結びきり、あわび(あわじ)結び ・熨斗つき ・表書きは「寿」「御結婚御祝」など ・ご自身の名前は表書きより少し小さめに ・中包みの表には金額を書きます 金額は旧漢字でよく書かれてありますが、決まりはありません。また、「金壱萬円」などと表記されているのを見られますが、「一万円」でも良いのです。「 …