私の主催する日本の神話のお話会に、来られた方がよく言われることがあります。
「神社は参拝するけど、日本の神話はあまり知らないのです。 おまけに、神様の名前も長すぎて、とても覚えられないのです!」
びっくりするのが、覚えようとされていることです。 私は、「覚えようとされているだけ、凄いです!」と返しています。
日本の神話は、学校では習いません。私の小さい頃から現在に至るまで。 両親に聞くと、戦前は、小学校の教科書の中に物語として紹介されていたようです。
戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の政策によって、教科書から消されてしまいました。 新聞やテレビでも取り上げませんから、知る機会が殆どありません。
私の子供の頃は、「まんが日本昔ばなし」という番組が放送されていて、その中で、日本の神話の物語が、ひとつ、ふたつは、紹介されていました。 でも、そのような番組は、現在、放映されていないので、全く触れることがないのです。
◎日本の神話というと?
日本の神話というと、古事記と日本書記という書物があげられます。 それぞれについて、紹介します。
・古事記(こじき)
天武天皇の命を受け、稗田阿礼(ひえだのあれ)が口承で伝えられてきた神話を太安万侶(おおのやすまろ)が、書き記した書物。712年に完成。国内に向けられて書かれたため、漢文でなく、万葉仮名で書かれている
※万葉仮名 日本語を書き記すために、漢字の音を借用して用いられた文字。
・日本書紀(にほんしょき)
天武天皇の命を受け、国の歴史書として、編纂されて、720年に完成。対外的な国の歴史書の位置づけのため、全文、漢文で書かれている。
つまり、古事記は国内向け、日本書記は、その当時の先進国、中国向けに作成されたのです。 どちらかというと古事記の方が、物語性が強いように思います。
私自身も、お話会では、神様のお話ではあるけど、ものすごく人間臭い古事記のエピソードを多く紹介しています。
◎初ものづくしの日本の神話
そんな日本の神話ですが、面白いのが、初ものがたくさんでてきます。 少し紹介しますと...
・日本で、最初の夫婦ゲンカ
・日本で、最初の兄弟ゲンカ
・日本で、最初の引きこもり
・日本で、最初のお祭り
・日本で、最初のラブレター
・日本で、最初の育児放棄
こんなことやってるの?そう言いたくなります。 このあたりのお話も、これからの連載の中で、ご紹介して行きます。
このタイトルだけみていても、人間臭いです。 登場する神様の名前を現代風の名前に変えて、場面設定を現代にしたら、そのままドラマができそうです。 そう考えると、神様の時代から、神様も人間も、やっていることは変わらないようです。
だから、神話を学ぶことは、日本人を知ることに繋がるように考えています。 それは、1300年を超えて、私達に伝えられたプレゼントのように感じます 1300前の日本人が、大切にしてきた神様の物語。その中の神々の行動が、現代の日本人の行動とそっくりなのですから、それは、きっと大切に世代を超えて、遺伝子レベルで伝えられてきのだと思います。
そんな日本の神話を、これから、面白く、ご紹介して行けたらと思っております。