神話でわかる日本の心

神話は、我々の祖先の物語。そこには、日本人が大切にしてきたものが語られています。神話から、日本人を知ることは、ひいては自分を知ることに繋がります。
神社参拝を契機に祀られている神々が活躍する神話に興味を持ち始め、2012年に神話を伝える活動を始めた筆者が送る神話から読み解くことのできる日本人のDNA、守っていくべきものとは…。

良いも悪いもない存在

日本は、八百万の神様の国です。自然界のありとあらゆるところに神様は、存在します。そして、それらの神様は、いろんな形で人間と関わっています。
風の神様は、船が進むのに都合の良い風を与えてくれます。でも、時には、台風を生み出して、大きな被害をもたらします。
水の神様は、人間も含む生物にとって重要な水を与えてくれます。でも、時には、水害を巻き起こして、たくさんの命を奪います。
陽の神様は、たくさんの穀物が育つエネルギーを与えてくれます。でも、時には、日照りを起こして、たくさんの生き物を死においやります。
神様は、私たちに大きな糧を与えてくれますが、ひとたび怒りだすと私たちの同胞がたくさん亡くなったりします。私たちのとって、良い神様であるときもあれば、悪い神様になるときもあるのです。

また、禍を起こす神様がいます。八十禍津日神(やそまがつひのかみ)です。また、凶事を引き起こす神もいます。大禍津日神(おおまがつひのかみ)です。
日本の国生みをした伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、死者の国である黄泉の国で穢れを背負ってきて、それを落とすために川で禊をした時に生まれた神様です。
禍や凶事を引き起こす悪い神様がいるのです。でも、凶事を吉事に変える神様も続けて生まれてきました。神直毘神(かみなおびのかみ)と大直毘神(おおなおびのかみ)です。
禍も凶事も人間にとってどうかということです。それは、吉事も同じです。神様としては、良いも悪いもなく、そこにおられる、在るだけなのです。
その神様のなされることを良いことと受け取るか、悪いことと受け取るかは、受け取る人間次第なのです。

ある人間にとって良いことでも、別の人間にとっては、悪いことかもしれません。また、人間にとっては悪いことでも、他の動物にとっては良いことかもしれません。
生物にとっては悪いことでも、地球にとっては良いことかもしれないのです。すべて、受け取り方なのです。神さまの行いは、人知では計り知れないものです。
人間がどうすることもできないことが多いのです。だから、昔の人は、神様を怒らさないように、鎮まってもらうように祀り、祈ったのです。

人間社会でも同じことが言われます。出来事に意味はない。あるのは、その出来事を自分がどう意味づけるのかということ。
昨年からのコロナ禍の中、人間の知恵では、何ともならない部分も出てきています。
その状況を自分の中で、悲劇ととるのか、何かの示唆ととるのか、どちらを取るかで、コロナ禍が過ぎた後の、生き方が変わってくるようにも思います。

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