新作映画が出るたびに、どの映画を観ようか悩む人も多いのでは?シリーズ「シネマティック・ロンダン」では、フリーアナウンサーであり、映画パーソナリティーでもある津田なおみ氏による、おすすめ映画のレビューをいち早くご紹介します♪
終始、緊張がみなぎるシーンの連続の作品なので、体調の良いときにみるのをおすすめします。実際にインド・ムンバイで起きた、無差別テロからの脱出劇を「2018年注目すべき映画監督10人」に選出されたアンソニー・マラスが監督した意欲作です。 2008年11月、インドを代表する五つ星ホテルが、500人以上の宿泊客と従業員を人質に、テロリストによって占拠されました。テロリストは、一部屋ずつノックして、扉を開けた宿泊客を次々と殺していきます。制圧するためには、特殊部隊が必要なのですが、なんと到着には数日かかるという過酷な現実が伝えられます。特殊部隊がやってくるまで、なんとしても宿泊客を守らなければならない。 …
国宝、姫路城を舞台に、江戸時代、姫路藩が総出で引っ越しをする、今回は、昭和50年代の松竹喜劇を思わせる作品をご紹介します。 史実を背景に、小気味良い展開がなされ、旬の俳優達の演技も加わり、画面が活気づいています。 度重なる国替えで財政が困窮している姫路藩主、松平直矩(及川光博)の元に、幕府から5回目の国替えが命じられました。 当時の引っ越しは、全ての藩士とその家族全員で移動するため、桁外れの費用と労力がかかりました。前任の引っ越しの総責任者である「引っ越し奉行」は過労死してしまったほどです。 この最大のピンチを任されたのは、人が苦手で本ばかり読んでいる、引きこもりの書庫番、片桐春 …
恋焦がれるあまり、もだえ苦しみ死んでしまう女性が登場する[能]や、恋する人に裏切られ、この世に恨みを残し「恨めしや~」と出てくる[怪談]など、昔から日本では、濃くて深い恋愛物語が舞台で演じられてきました。 しかし、いつの頃からか、恋愛のことを真正面から熱く語ると、格好悪いと言われるようになっている気がします。今の20歳代の若者は、お互いに深く立ち入らない範囲で恋愛するようです。だからこそ、この映画は今ヒットしているんだろうなと思います。 今回、取り上げるのは「劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD」です。 本作は、中堅サラリーマンの「おっさん」の純粋さをウリに、不器用さと正直さで …
女優の桃井かおりが主演した『フクシマ・モナムール』など、日本を主題にした作品が5本もある、ドイツの女性監督、ドーリス・デリエの新作です。昨年、亡くなった樹木希林の海外デビューであり遺作となった作品でもあります。 ドイツ・ミュンヘン。アルコール依存症のために、家族も仕事もなくし、失意のどん底の男性カール(ゴロ・オイラー)の前に、突然、ユウ(入月絢)と名乗る日本人女性が訪ねてくる。ちょっと変わった彼女との出会いで、カールは少しずつ自分自身を取り戻していく。ところが、ある日、忽然とユウの姿が消えてしまう。日本まで彼女を追いかけたカールの前に現れたのは、ユウの祖母(樹木希林)でした。 日本で昔から …
明治、大正、昭和、平成と続く時代の中で、映画は、戦争映画を描き続けてきました。 映画の製作技術が進歩するにつれ、『戦争』は映画の主要テーマになり、数々の戦いを、そして、その裏にある人間模様を描いてきました。作品が製作される時代と、それを取り巻く環境によって、戦争の描かれ方も扱われ方も様々です。 令和に入り、この夏公開される東宝の戦争映画は、これまでとはひと味違います。 何が違うのか。 第二次世界大戦へと向かう日本で、なんと、数学で開戦を阻止しようとした男の物語なのです。 今回、ご紹介する『アルキメデスの大戦』は『ALWAYS 三丁目の夕日』や『永遠のゼロ』の山崎貴監督が手がけまし …