シネマティック・ロンダン

新作映画が出るたびに、どの映画を観ようか悩む人も多いのでは?シリーズ「シネマティック・ロンダン」では、フリーアナウンサーであり、映画パーソナリティーでもある津田なおみ氏による、おすすめ映画のレビューをいち早くご紹介します♪

「糸」

©2020映画『糸』製作委員会

「平成を振り返る」

令和になった際に、よくあちこちのイベントやテレビなどで特集として組まれていました。『糸』は、映画で平成をラブストーリーとともに振り返っていきます。

「縦の糸はあなた、横の糸は私~♪」

中島みゆきの名曲で、老若男女に歌われている「糸」をモチーフにし、平成時代に一番多くつけられた名前、男の子の「漣」と女の子の「葵」を主人公にした、完全オリジナルストーリー。平成史の変遷とともにすれ違いの恋が描かれます。

©2020映画『糸』製作委員会

平成元年生まれの漣(菅田将暉)と葵(小松菜奈)。北海道に住む二人が淡い恋心を抱いたのは13歳の時でした。

美瑛の丘で待ち合わせをして、なんてことのない会話にときめく二人。

ところが、葵は誰にも告げずに突然引っ越し、行方がわからなくなりました。

後から聞くと、彼女は家族間でのトラブルを抱えていたらしく、漣はそれに気づいてあげられなかったことを後悔します。

漣には想いだけが残されました。

それから8年、友人の結婚式で再会した二人でしたが、葵には大人の色香漂う大介(斎藤工)という恋人がいました。

すでに別々の人生を歩みはじめた二人。

漣も仕事仲間の香(榮倉奈々)と結婚します。

その間、リーマンショックや東日本大震災が起き、それを乗り越えながら、ようやく平成最後の夜に2人に巡りあいのチャンスがやってきます。

©2020映画『糸』製作委員会

主人公の2人は劇中では、すれ違いばかりです。

お互いに別の人生を歩みながら、誰かの大事な人になったり、信頼した人に裏切られたり。

はたまた新しいことにチャレンジしたり。そんな中で、誰かに影響を与え与えられ、助けたり助けられたりします。

どんな人とどんな風に関わるのかはとても大事で、それによって人生は大きく変わっていきます。

二人の周りにも様々な人が来ては去り来ては去り・・・を繰り返します。

その経験全てが人生の彩りと深みになり、その人にしか織り出せない模様を形作っていくのです・・・。

©2020映画『糸』製作委員会

2人には悲しい出来事も起きます。

しかし、何が起きてもそれを受け入れ肯定していく強さを持っています。

その先に、一番手に入れたいものが待っていると信じているかのようです。

この前向きに生きる態度こそが「仕合わせ」に近づくために大事なことなのかもしれませんね。

二人の恋が時間と距離を超えて、細い糸で繋がっていると思わせる仕掛けが、主人公たちの何気ない台詞や仕草などで繰り返されるのが心地よくて、菅田将暉と小松菜奈の相性も抜群です。

特に小松菜奈は、往年の女優、高峰秀子のように目線が美しい。

まなざしで演技が出来る素敵な女優さんです。

北海道、沖縄、シンガポールが舞台になり、この時世にこうした景色がスクリーンに広がるのも新鮮でした。


●タイトル:「糸」

●公開:全国東宝系にて公開中(130分)

シネマティック・ロンダン 
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