シネマティック・ロンダン

新作映画が出るたびに、どの映画を観ようか悩む人も多いのでは?シリーズ「シネマティック・ロンダン」では、フリーアナウンサーであり、映画パーソナリティーでもある津田なおみ氏による、おすすめ映画のレビューをいち早くご紹介します♪

プーと大人になった僕

さて、まだまだ映画館に行くのはちょっと抵抗がある…。そういう方、多いでしょう。映画館自体、感染対策はしっかりしています。常に換気され、アルコール消毒も入念に。ある識者の見解では、映画を見ている間はみんな、スクリーンに向かっているので、飛沫は飛ばないから大丈夫だろうって話もあります。ただ、コメディ映画で大笑いはマスク必須でしょうけどね。

と、いうことで、今回もDVDで楽しめるほっこりの映画をご紹介します。

1926年にA.Aミルンが息子クリストファー・ロビンの為に書いた児童書の『クマのプーさん』が初めて実写映画化されました。な~んだ。子供向けか…と思うなかれ。

なかなか、コロナ後のニューノーマルにはまりそうな人生訓がたくさんあります。

ディズニーアニメでは、プーは力を入れすぎると背中の縫い目がはち切れて、綿が出てきてしまいますが、そんなモフモフ感そのままに、実物の縫いぐるみを使用して撮影されているのです。なんだかイライラする話が多い昨今に、ふっと力が抜けて優しい気持ちになる作品です。

かつて「100歳になっても、君のことは忘れない」と約束を交わしてプーと別れたクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)は、今や中間管理職のサラリーマンのおじさん。多忙な日々を送っています。家族を大事にしたいのに、会社からは難題を押しつけられ、週末も休むことさえできないほど、

あ~、どうしたら人生に喜びがやってくるのか。思い悩んでいたクリスファーのもとに、長い間離れていた親友プーが現れます。

「何もしないは最高の幸せ」と言うプーは、昔とまったく変わっていません。常にゆったりのんびり。「のんびりしすぎや!」と突っ込みたくなるくらい。

忙しい世の中、それが、起因でロンドンの街でトラブルを巻き起こします。大人になったクリストファーには、プーのゆったりまったりが、イライラの種になっていきます。

とうとう、ある時、クリストファーの怒りは頂点になり「もう、昔の僕じゃないんだ。いい加減にしてくれ!」と叫んでしまいます。しかし、彼は、その瞬間、はっと目が覚めるのです。時間に追われて生きていることが美徳のように感じているのですが、果たしてどちらの生き方が本当に幸せなのだろうかと。

本作は、ストレス過多な現代に生きる大人に、潤いを与える仕掛けが、ふんだんに用意されています。プーが大切にする赤い風船は幸せのメタファーですし、ぬいぐるみのなんともいえないクタッとした質感は、徐々に子供のころを思い出させてくれます。

クリストファーを演じるユアン・マクレガーは、『スター・ウォーズ』シリーズでオビ・ワンをカリスマ性高く演じていた俳優ですが、本作では、ぬいぐるみだらけの画面の中でも全く違和感がなく微笑ましい感じ。何とも不思議な俳優です

 

シネマティック・ロンダン 
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