お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

御殿と深い関係? 蘇鉄のはなし

蘇鉄(そてつ)」をご存知ですか? 尖った葉先が特徴の、南の島をイメージさせる植物です。はじめて蘇鉄に興味を持ったのは、二条城(京都府)を訪れたときのことです。世界遺産の二の丸御殿には「蘇鉄の間」という空間がありました。 蘇鉄の間といっても、二条城のほかの部屋のように、畳敷きで障壁画もあり、天井のつくりまで手の込んだ特別な空間ではありません。蘇鉄の絵が描かれた木戸が並んでいるだけの、渡り廊下のような「ちょっとした」空間です。そんなミニマムなスペースにも関わらず、蘇鉄の間は格式のある「間」として存在し、遠侍・式台・大広間・黒書院・白書院と並んで国宝となっています。 「なぜこの場所に蘇鉄の間はあるの …

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