お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

松本城天守を救った二人の英雄

長野県の松本城に行ったことはありますか? 現存天守の松本城は人気の観光スポットなので、お城好きに限らず訪れた方は多いことでしょう。本物の黒い漆で塗られた天守は「全国でも松本城だけ」という特別感もさらに魅力を引き立てます。別名「烏城(からすじょう)」とも呼ばれる漆黒の松本城。その天守の黒と北アルプスの雪の白とのコントラストはとても美しく、時間を忘れて眺めてしまう風景です。 なぜ今も松本城は、この美しい姿のまま残っているのでしょうか? それは、歴史の転換期に松本城を救った人物が存在したからです。 その人物は、『競売にかけられた天守で万博を開催し、天守を買い戻した人物』として紹介されている、松本下横 …

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