お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

【城の歴史21】応仁・文明の乱と戦国時代の山城

南北朝の動乱を収束した3代将軍・足利義満によって、室町幕府はようやく安定すると思われましたが、義満の死後には、幕府の支配力はみるみる衰えてゆきます。それに反比例するように、4代将軍・義持の時代には守護大名たちの権力は強大化し、近畿地方を中心に一揆が頻発して土着の農民たちが反抗します。 武家のトップである将軍の統率力なくしては、社会不安も増大するでしょう。尊い将軍の地位を「くじ」で決めてしまうほど将軍家は弱体化し、ついには6代将軍・義教が、有力守護の赤松氏によって殺害される「嘉吉の乱」まで起きる始末です。社会情勢に混乱の兆しが現れはじめます。 権力を増大させる守護大名と、支配力を弱小化させる室町 …

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