お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

全国の大名を統制する家康の戦略「武家諸法度」

数日で400あまりの城が取り壊されたと伝わる「一国一城令」の大騒動から1ヶ月。 家康による大名統制のための次なる戦略、「武家諸法度」が発布されました。 制定された年の元号にちなみ「元和令」とも呼ばれるこの武家諸法度は、2代将軍:秀忠の命で出されたものですが、実質的には大御所だった家康が制定したものです。「文武弓馬道の奨励」「無断婚姻の禁止」「参勤の作法」「衣類の統制」「倹約の奨励」など全13条から構成されています。 武家諸法度と言うと参勤交代が有名ですが、参勤交代が制度化されたのは、3代将軍:家光による「寛永令」からのこと。元和令では、参勤の作法を定めただけでした。 その13条の中に1条だけ、 …

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