全日本作法会で20年以上、作法に携わり、企業や大学にてマナー研修を実施している筆者が送る日本の礼儀・作法に関するチャンネル。 一口に礼儀・作法といってもそこに隠されている、込められている日本の心、文化について発信していきます。
1.食べる事は生きる事 古今東西、人は美味しいものを求め続けてきました。いえ、今も美味しい料理、食材を求めています。を元気に保つため、一日でも長く生きるため。元来「食」の目的はそのことです。そのために、何よりも優先して食べることへの欲求が強いのでしょう。 しかし、それなら身体に必要な栄養が取れることだけを重要視すればいいのであって、「美味しさ」を求める必要はないのです。それなのに、例外なく人は美味しさを求める欲求はつきることがありません。 木の実や植物をそのまま食べていた時代もありますが、火を通し、調味料を創り、調味料で味付けすることで、同じ食材でも味の変化を楽しむことを覚えます。料理法の進化 …
「菊の花 若ゆばかりに袖ふれて花のあるじに 千代はゆづらむ」 紫式部の歌です。 菊の花の着せ綿で身体を拭えば、千年寿命が延びますが、私は少し若返る程、袖を濡らすだけにして、千年の寿命は貴方様に譲ります。 紫式部は、藤原の道長の北の方(道長の奥様)より「菊の着せ綿」を贈られ大喜びしてこの歌を詠んだとされています。 「着せ綿」というのは、九月八日の夜菊の花の上に綿を被せておき、露に濡れた綿で身体を拭うと健康になり若返るという風習で、平安時代、公家の社会で広まっていたのです。 この「着せ綿」も九月九日の「重陽の節供」と関わりがあります。 「重陽の節供」というのは、江戸時代に制定された「五 …
日本人は律義で、約束を必ず守る民族、と世界では知られています。たしかに、外国の人は良く言えば大らかなのか、時間はあまり気にされないようです。 先日も、知人の事務所に遊びに行き、そろそろ帰ろうかと思い、立ちかけたとき、知人が「今日はもう少ししたら、近所の外国人が来るから会っていって」と言うので、待っていました。ところが、10分過ぎても20分過ぎても姿を見せません。連絡もありません。30分待ったのですが、もう待っていても仕方ないと思い帰宅しました。 知人も「さすが外国人。時間を気にしないわね」とあきらめ口調です。 これが、日本人なら、どうしたのだろう、何かあったのかな、など余計な気をまわしたりしが …
今年も猛暑が続いていますが、季節は秋に流れています。 旧暦でも新暦でもお盆が過ぎると、一年の終盤に近付いていきます。旧暦の八月一日は「八朔」と言われ、五節供には入っていませんが、「田の実の節句」とも云われていました。農耕地域では、早稲の実がなり、初穂をお世話になっている人に贈る風習があり、「頼み」と「田の実」をかけ、武家社会や公家の間でも、日ごろお世話になっている人(頼みあっている)に感謝の気持ちを込めて、贈り物をするようになったようです。これも現代のお中元の原点の一つかもしれません。 「八朔」の行事は古くから、記録に残されていますが、ことに江戸幕府は、お正月に次ぐ祝日とされています。徳川家康 …
今年も各地で花火大会が催されています。街や電車は娘さんの浴衣姿が多く見られます。今や、市民権を得た浴衣ですが、本来は湯上りに素肌に着る衣です。浴衣は平和時代、入浴するさいに着用されていた「湯帷子」が原型とされています。ゆえに素肌の上に着用する、いわば寝巻でした。本来は外出着ではありません。年配の女性は、浴衣姿で電車に乗るなんて考えられないと仰います。言ってみれば、パジャマで電車に乗っているようなものですから。 そうは申しても、今や若い人を中心に、夏の外出着となった浴衣を認めないわけにはいきません。大人の女性が同じように着るかどうかは別として。外出着として着用するのであれば、せめて浴衣姿を美しく …