短期大学卒業後大手地方銀行に長年勤務 着付けを習うことで、日本の文化に興味を持つ全日本作法会で20年以上、作法に携わる。 企業や大学にてマナー研修を実施
「菊の花 若ゆばかりに袖ふれて花のあるじに 千代はゆづらむ」 紫式部の歌です。 菊の花の着せ綿で身体を拭えば、千年寿命が延びますが、私は少し若返る程、袖を濡らすだけにして、千年の寿命は貴方様に譲ります。 紫式部は、藤原の道長の北の方(道長の奥様)より「菊の着せ綿」を贈られ大喜びしてこの歌を詠んだとされています。 「着せ綿」というのは、九月八日の夜菊の花の上に綿を被せておき、露に濡れた綿で身体を拭うと健康になり若返るという風習で、平安時代、公家の社会で広まっていたのです。 この「着せ綿」も九月九日の「重陽の節供」と関わりがあります。 「重陽の節供」というのは、江戸時代に制定された「五 …
1.食べる事は生きる事 古今東西、人は美味しいものを求め続けてきました。いえ、今も美味しい料理、食材を求めています。を元気に保つため、一日でも長く生きるため。元来「食」の目的はそのことです。そのために、何よりも優先して食べることへの欲求が強いのでしょう。 しかし、それなら身体に必要な栄養が取れることだけを重要視すればいいのであって、「美味しさ」を求める必要はないのです。それなのに、例外なく人は美味しさを求める欲求はつきることがありません。 木の実や植物をそのまま食べていた時代もありますが、火を通し、調味料を創り、調味料で味付けすることで、同じ食材でも味の変化を楽しむことを覚えます。料理法の進化 …
世界三大料理とは、中華料理、フランス料理、そしてトルコ料理が入ります。平成25年に「ユネスコ無形文化遺産」に認定された和食、日本料理は入っていません。個人的には、日本料理は世界三大料理の上に位置していると考えています。 日本料理ならではの特徴は生魚を食べることではないでしょうか。新鮮な魚の鱗をとり、身を切って盛りつける。味付けは醤油などの調味料を個人の好みでつける。非常にシンプルな料理です。それだけに、素材の味が際立ちます。煮る、焼く、蒸す、揚げる、そして生の五法を用いて料理するのですが、食材に火を通しても、素材の味を殺すような味付けはしないのが日本料理です。 フランス料理なら、ソースが料理の …
料理に対する考えが違うのは、食事の時に使う器にも影響します。 西洋料理では、同じような大きさ、形の器が使用されます。日本料理では料理によって、大きさはもちろん、形、色や柄も使い分けます。 江戸時代に茶人が、禅僧が懐に温かい石を入れてひもじさを忍んだという故事から名付けた、懐石料理は茶会の時にお客様をもてなすために出される料理です。その懐石料理では、飯、汁、向こう付け、煮物、焼き物、吸い物、八寸、香の物などが順に出されますが、どれひとつとして同じ器が使われることはありません。理と器の調和を考え、それぞれの料理にふさわしい大きさ、形、柄の器を選び、盛りつけます。 器が料理を引き立て、また料理が器を …
今回は、海外の国における「食」の歴史についてです。 日本料理の歴史は古いのですが、諸外国の「食」にも当たり前ですが、歴史があります。あらゆる事にいえますが、ある程度歴史から知らないと、本質が見えてきません。 ・イタリア料理 イタリア料理はフランス料理よりも古く、古代ローマ帝国の時代にまで遡ります。古代ローマ人は何よりも食べることを好み、一食一食に時間をかけていました。一食を必ずコースにしており、一日に三食取っています。 上級階級のローマ人は、腕の良い料理人を呼んで、客をもてなしました。料理人たちは腕を競い、他の国の追随を許さないほど豊かな食文化が生まれます。ローマ帝国がヨーロッパ全体に勢力 …