短期大学卒業後大手地方銀行に長年勤務 着付けを習うことで、日本の文化に興味を持つ全日本作法会で20年以上、作法に携わる。 企業や大学にてマナー研修を実施
新嘗祭の11月23日は、大阪で「神農さん」と云われる神農祭りが行われる日でもあります。大阪市内、ビジネス街のビルとビルの間にある小さな神社「少彦名(すくなひこ)神社」で催される、無病息災を願う祭りです。 少彦名神社の祭神である少彦名命(スクナヒコナのミコト)は薬、医療、温泉、国土開発、醸造、交易の神様です。 医薬に関係する神様であることから、製薬会社などの信仰を集めています。 安永9年(1780年)に京都の五條天神社より、薬種中買仲間の団体組織が少彦名命の分霊を大阪の道修町に勧請(分霊を他の神社に移すこと)して、すでに祀ってあった神農炎帝とともにお祀りしました。少彦名命は、古事記では神産巣日 …
1.作法に必要な論理と想像力 「型」は理論 茶道では「袱紗捌き」があります。 何何度も袱紗を広げて、また折りたたみます。 お茶の道具を拭くために必要な行為ですが、面倒に思えます。 短期間ですが茶道を習ったことがあります。 その時に、袱紗捌きの本当の意味が理解できました。袱紗の清潔な面でお茶の道具を拭き清める。そのために、広げ折り返すのだということがわかったのです。 袱紗に余計な皺をつけず、必要以上に袱紗を広げないで、常に清潔な面をお道具に当て清めるための無駄のない動きです。それが、袱紗捌きの「型」として継承されてきています。 作法にも様々な「型」があります。 夜露キビ事や悲しみ事の儀式から、歩 …
令和元年も半年が過ぎました。六月三十日の「夏越しの祓い」も終わり、後半が始まります。今回は、ちょうど半年目の行事「七夕」について書いてみました。 七夕(たなばた・しちせき) 最近は「恋伝説」や「恋人の祭」としてクローズアップされる七夕節ですが、まことの謂われは違います。 七夕の行事が中国からもたらされたのは、奈良時代にまで遡ります。中国では、「乞巧奠」 の行事がありました。 「乞巧奠」とは、旧暦の7月7日に織女星に裁縫が上達するように願をかけるお祭りです。この催しが日本に伝わります。「平家物語」によれば、宮中や貴族の屋敷で、庭に供え物 …
七月に入ると、お中元商戦が真っ盛りとなります。 CMでも、♪夏のご挨拶~♪と歌われています。そう、「お中元」とは「夏のご挨拶」と同じ意味合いで使われていますね。 でも、何故「お中元」? 「お中元」なんて言葉この時しか使いません。 「中元」とは中国の道教からきている上元、中元、下元の「三元」の一つです。 上元とは旧暦の1月15日で、天を司り福を与える天官大帝の誕生日。 中元とは旧暦の7月15日で、地を司り罪を許す地官大帝の誕生日。 下元とは旧暦の10月15日で、水を司り厄を払う水官大帝の誕生日。 日本では、中元と上元が残り、特に中元は仏教の盂蘭盆会と重なり、盛んに行われるようになったのです。現代 …
作法、マナーの入り口は「挨拶」です。 「挨拶」とは、禅語からきています。僧たちの問答し合うことをいいます。そのことから、押し合い、心を開くと云う意味に転じました。我が国における挨拶の言葉は、英語圏の国より多いと思います。一日の中での時間の移り変わりによっても使いわけるのは言うまでもないことです。 「おはようございます」は「早くからせいが出ますね」という意味が込められています。昼にお会いしたら、「こんにちは」と声をかけます。「今日は」はその字の通り、「今の太陽」のことです。「今日は(こんにちは)」は「太陽さん」と呼びかけている言葉でもあります。今でも太陽のことを「今日様」と云う地方があります。「 …