和・作法の彩り

全日本作法会で20年以上、作法に携わり、企業や大学にてマナー研修を実施している筆者が送る日本の礼儀・作法に関するチャンネル。
一口に礼儀・作法といってもそこに隠されている、込められている日本の心、文化について発信していきます。

季節のお話

令和元年も半年が過ぎました。六月三十日の「夏越しの祓い」も終わり、後半が始まります。今回は、ちょうど半年目の行事「七夕」について書いてみました。 七夕(たなばた・しちせき) 最近は「恋伝説」や「恋人の祭」としてクローズア …

令和元年も半年が過ぎました。六月三十日の「夏越しの祓い」も終わり、後半が始まります。今回は、ちょうど半年目の行事「七夕」について書いてみました。

七夕(たなばた・しちせき)

最近は「恋伝説」や「恋人の祭」としてクローズアップされる七夕節ですが、まことの謂われは違います。

七夕の行事が中国からもたらされたのは、奈良時代にまで遡ります。中国では、「乞巧奠」                               の行事がありました。

「乞巧奠」とは、旧暦の7月7日に織女星に裁縫が上達するように願をかけるお祭りです。この催しが日本に伝わります。「平家物語」によれば、宮中や貴族の屋敷で、庭に供え物をしたり、カジの葉に、芋の葉の露で摺った墨で願い事を書いたりしました。

短冊に願い事を書く原点でしょうか。短冊に書く願い事は、織女星にちなんで裁縫、書道など技芸の上達祈願です。笹や竹に短冊を吊るすのは日本の風習であり、中国では五色の糸をつるします。五色とは五行説からきています。

旧暦の7月7日に天の川を挟んで最も輝く星が、牽牛星と織女星。牽牛は農産物を掌り、織女は裁縫の仕事をつかさどっていました。天帝は自分の衣を織る織女と牽牛を結婚させます。しかし、夫との生活に溺れて、織女は機織をしなくなります。怒った天帝は二人を引き離し、一年に一度だけの逢瀬にさせるのです。このお話しが、とくに最近はクローズアップされて、七夕は悲恋物語や、恋人たちのお祭りみたいに考えられているように思います。

日本では、棚機津女(たなばたつめ)の伝説があり、禊(みそぎ)の神事でもありました。秋の豊作を祈り、穢れをはらう。選ばれた女性が小屋にこもり、神様の衣を織ります。その時に使用されるのが「棚機(たなばた)」という織り機です。また、「たなばた」の語源は「古事記」からという説もあります。

仏教が伝来されると、この行事はお盆前の行事となります。でもお盆は八月では?お盆とは旧暦の7月15日です。明治時代に新暦に改められてから、関西では月遅れの盆として8月15日、関東では新暦でも7月15日に盆の行事が行われるようになったのです。盆の日程が関西関東で違いが生じることで、お中元の時期も違いが生じます。

お中元とは、現代では半年間お世話になった方へのお礼かたがたご挨拶としての贈り物となっていますが、本来はお盆のお供え、または故郷へ帰省するときのお土産でした。ゆえに、お盆までに贈るとされているのですが、関西と関東ではお盆に1カ月のずれがあるので、お中元を贈る時期も1カ月ほどずれてきます。

古くから、7月7日は節日とされていましたが、江戸時代になり五節供のひとつに制定されます。そのころから、庶民にも広まり、子供から大人まで星を眺めて楽しんだことでしょう。中国から伝わった伝説と、日本古来の神事とが混ざり合って現代の七夕ができています。

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