【世界的規模の解体アタッチメントメーカーの経営者】
岡田祐司氏は国内最大の解体アタッチメントメーカーであるオカダアイヨン㈱の創業家一族出身の現社長である。
同社は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでも製品を販売している世界的な企業。氏は世界中の自社拠点、取引先への出張で多忙を極めている。2ヵ月前からお願いして、ようやくインタビューの約束を頂いた。
【泥まみれ、油まみれの駆け出し時代】
氏は、叔父の勧めで、勤めていた設計事務所を辞めて、同社に入社した。創業者の親戚といえども、若い頃は現場で仕事を叩き込まれた。六本木ヒルズの地下岩盤の掘削現場でも自社の油圧ブレーカーを持って働いた。当時は修理も現場で行われており、泥まみれ、油まみれになって尽力したそうだ。それでも、作業服の着替えは屋内でさせてもらえないような扱いを受けたらしい。「解体アタッチメントメーカーは、言わば大手建機メーカーの下請けですからね。仕方ないんです」。氏は明るく語った。今でこそ、オカダアイヨン社は国内最大手だが、こういう時代もあったようだ。
【海外勤務】
氏は、サービス、営業、経理などを幅広く経験した後、オランダのアムステルダムで欧州事務所を立ち上げ、ここを拠点にヨーロッパ各地の顧客を訪問した。驚くことに、当時は、西ヨーロッパ、旧東ヨーロッパ問わずすべての代理店を車で訪問したそうだ。
例えば、アムステルダムからスペインのマドリードまで1700㎞(青森から熊本の距離に相当)を16時間かけて車で訪問したという。
若かりし日の氏は移動途中の国、町での人々との触れ合いから、その地の国民性や文化を吸収していったものと推測される。その経験は、世界シェアの拡大を目指す同社の戦略に今後なお、大きな糧となるだろう。因みに、この地では現在も車移動の方針が続いているそうだ。
【アラブの春】
オランダ駐在時、アフリカのチュニジア、モロッコの販売先候補の会社を訪問したところ、熱烈歓迎を受けたという。重要閣僚に出迎えられ、移動途中の車は、赤信号でも特別車両として進めたそうだ。
氏は、「この状況ならうちの商品を労せずして買ってくれるだろうと期待を膨らませたんです。しかし、目算が甘かったです。その後の民主化の嵐、所謂『アラブの春』運動がアフリカ各地で広がり、チュニジアも当時の政権が倒れてしまって、この商売の話は消えてしまいました」。氏は、悔しそうに言葉を繋いだ。
【影響を受けた人物】
会社経営で影響を受けた人物は、現相談役の苅田氏と現専務の前西氏だそうだ。ともに三井住友銀行の出身である。岡田氏が帰国して経営企画部にいた頃、長期の経営計画の作り方を苅田氏から教わった。オカダアイヨン㈱にとって初の同計画策定となったそうだ。
現在はローリングプランとなる3ヵ年計画がしっかり作成されており、進捗状況も随時報告されている。驚くのは、業績面において、その計画が総じて達成されて来ていることだ。
作るだけなら簡単だ。しかし、その通りの業績を上げているということは、入念に世界経済、国内マーケットの現状を分析し、事業のあらゆる可能性を検証して、達成可能な最適なプランを立てているということだ。精鋭の経営者たちだからこそ、なせる技である。
【岡田流社員教育】
社員の育て方について問うてみると、驚くべき答えが返って来た。「全国各地の全社員に会いに行って、色々話を聞くんです。営業の社員なら営業先まで同行もします。その上でその社員に応じた指導をしています」。これを、社員二百数十名だった頃から全社員に対して実践しているというから驚嘆するほかない。
氏は海外への出張も多く多忙を極めるが、今でも全社員面談は続けている。社長にここまでされては、社員はおのずとやる気になるだろう。氏の座右の銘は「人を大事に」そして「実るほど頭を垂れる稲穂かな」だそうだ。どちらも、氏の行動によく表れている。筆者は経営者として頭が下がる思いである。
【世界的大企業を目指して】
同社は現在、国内最大の解体アタッチメントメーカーである。圧砕機の鋼材である鋳鋼品の材質、製作工程においては、世界の他のメーカーを寄せ付けない技術力を持ち、加えて保守メンテナンスサービスの内容、質も世界一といっても何ら過言ではない。新商品の開発時は、まずは、得意先に厳しい条件下の使用を求め、耐久力を測定しているそうだ。
これからの経営戦略は、世界での業績拡大である。今後は、欧米、アジア地域での売上、利益拡大に加えて、さらには、グローバルサウスの国々へも進出していくことだろう。優秀な経営陣、岡田社長のリーダーシップと人を引き付ける人柄が大きな戦力だ。
筆者は今回の取材を通じ、オカダアイヨン社がさらなる世界的な大企業になると確信めいた予感を抱いた。
(社主 上中康司)
【企業情報】
会社名/オカダアイヨン㈱
代表者/岡田祐司
本社/大阪市港区海岸通4-1-18
℡/06―6576-1271
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