建設経済新聞 出張所

和紙屋 ㈱杉原商店 代表取締役 杉原吉直氏【シリーズ 風貌~私の経営哲学~】

【和紙の里】
 福井県のJR鯖江駅から程なく車を走らせると、山の麓に「越前和紙の里」が見えてくる。この地域には多くの和紙製造の会社が集まっており、その技術は、戦国時代から脈々と受け継がれている。
 その中で伝統を守る1社が、『和紙屋 ㈱杉原商店』である。杉原氏にまず案内されたのは、約100年前に建てられたという大きな蔵。内部には和紙で作られた小物や便箋などの商品を扱うショップがある他、和紙製の室内装飾品の数々が鮮やかに展示されている。

【和紙と戦国武将】
 杉原氏はインテリジェントな雰囲気を纏い、古い文献を捲りながら話し始めた。
 手元の文献には、戦国武将が他の武将に宛てて書いた和紙の書状が掲載されていた。戦国時代から江戸時代に至るまで、和紙は位の高い武将に愛用されていたそうだ。「これは、織田信長が細川忠興に送った書状です。当時は、その真贋を〝紙の質〟で見極めていました。つまり、高級和紙の書状は本物であると考えられていたそうです」。

【建築資材としての和紙】
 かつて高級品であった紙が、時代の移り変わりによって誰もが安価で入手できるようになった現在において、なお、和紙に特別な価値を見出す領域の一つが、「建物の内装材」である。
 和紙は、耐久性が高く、光を透過し美しい自然光を部屋に取り入れ、空気中の湿度を一定に保つ効用がある為、快適でリラックスできる部屋作りに適しているそうだ。まさに、時代にあった素材といえるだろう。
 中でも同社の製品は、世界中の様々な建物に採用されており、その実績は「ザ・リッツ・カールトン京都」「リヨン市庁舎(フランス)」「トランプ・タワー内レストラン(アメリカ)」など、錚々たる建造物に及ぶ。

【和紙の時代再び】
 「まだまだ、需要が少ないですね。環境に優しい素材、人に優しい素材としての和紙をもっと世間に知ってもらいたいです」。杉原氏は決意を熱く語った。
 現代の人々は、心が癒される住まい、そして環境に優しい住まいを求めている。また、職人不足が叫ばれる昨今においてもなお、和紙の伝統技術を継承したい若者が各地の美術大学から集まって来るという。
 今こそ、日本の伝統文化である和紙が見直され、新たな取り組みを広げていく好機が到来しているのではないだろうか。
(社主 上中康司)

【企業情報】
会社名/和紙屋 ㈱杉原商店
本社/福井県越前市不老町17-2
℡/0778-42-0032

人気シリーズ「風貌~私の経営哲学~」の
最新版を読むなら“KJCねっと”へ!
興味のある方は以下のURLをクリック!1週間無料体験受付中!
http://www.kjc-news.co.jp/
★入札/民間建築申請情報を完全データベース化!
★気になるワードで過去20年分の記事検索が可能!
★掲載情報の充実&他にもメリット盛りだくさん!

建設経済新聞 出張所 
過去記事一覧

テキストのコピーはできません。