【未来を想い、信頼を築く】
「元気・丁寧・人間力」をモットーに掲げる㈱ＪＵＮＫＩ建設（吹田営業所／大阪府吹田市山田東２丁目10－８）は、今年で創業10周年を迎える。
「若い頃は若いなりの欲もありましたよ。でも、仲間が増えていく中で、今の考え方へと変ってきました」
昔の自分は売り上げが上がれば自分は満足できると思っていたが、今はもっと大きなものを見ている。会社が大きくなるにつれ、ひとつひとつ紐づけて、ひとりひとりを惹きつけていく企業としての責任を感じるようになったそうだ。
【家族への感謝】
独立した瞬間から、社長業の大変さが身に染みたという。下請け業者から反故にされたり、経済的な苦しさもあった。それを乗り越えた力は何だったのだろう。
「後ろを見るより、前を見ないと。時間がもったいないですからね」
振り返る暇もないくらい、仕事にのめり込んだ。
「家族経営という点が、一番大きいです。安心して任せられる信頼関係があるから、自分は前へ前へと進めました」
母（監査役）と兄（専務取締役）が丸山氏を支える。それぞれが得意とする役割は異なるが、臨機応変に状況を読み、〝阿吽の呼吸〟で協働してきたそうだ。
自分のやりたいこと、得意なことに集中して臨めたのは、家族のフォローがあったからこそ。そこから良い流れに乗り、社が回り始めたと回想する。
【外国人人材への愛情】
同社は技能実習生・特定技能外国人の育成にも力を入れている。
技能実習制度への批判が叫ばれる昨今であるが、同社は受入れ当初から法令を遵守し、外国人人材を大切に扱ってきた稀有な企業である。
「舗装の技術を母国へ持ち帰ってもらって、将来は対等なビジネス交流がしたいです。うちで育てた若者たちが、日本と母国の架け橋になればと期待しています」
なかなか一処に落ち着かない外国人人材も多い中、同社に在籍する人材は丸山氏らを慕い、腰を落ち着けて業務に邁進している。
【人材が人材を呼ぶ】
若手人材も社の支柱となり、業務に励んでくれているという。
高齢化が進む建設業界において、平均年齢が低い同社は珍しい存在だ。
「私が若い頃は、先輩の職人に付いて仕事を覚えました。職人ってのは、なかなか仕事を教えてくれないんですよ」
一つの技術に３年、それを覚えたら次の技術。業界に色濃く残る慣習が嫌だったという。
「自分は、その流れをひっくり返そうと思いました。どんどん技術を教えて、やらせてみて、センスを見る。それぞれの得意な事を伸ばしていける会社を目指したんです。それからですね、若い人がついて来てくれるようになりました」
当初、「若い人を」という意識は特になかったが、想いを実践した結果が今に繋がった。慕ってくれる若手社員が、途切れることなく友人や知人を紹介してくれる。仲間が仲間を呼ぶ社風ができたのだ。
【今後の課題】
「ありがたいことに、暇になるタイミングがないです」
しかし会社の成長とともに人材も増えてきたことから、盤石な組織へと再編をしていかなければという想いが増した。
現在はＩＴ化・ＤＸ化の促進を視野に、肉体労働以外の可能性・魅力を高め、〝舗装業の面白さ〟を作っていきたいと意気込む。
専務取締役（兄）はＩＴ化・ＤＸ化を見据え、ドローンの操縦ライセンスを取得したそうだ。
「人がやることには限界がありますから、そこを見極めながら事業拡大していきたいです」
【若い世代へ】
「後継者ですか？〝自分の子どもに〟とは全く考えていませんね。それぞれの人生がありますから。今後、社員の中から〝自信があるから教えて欲しい〟と言ってくれる人材が出てくるなら嬉しいですね。積極的に育てていきたいです」
活き活きと自身の想いを語る丸山氏。仕事を楽しむコツはあるのだろうか。
「自分が幸せと思えることを早く見つけることですね。それが見つかると、仕事が楽しくなりますよ。何でもそうですが、９割は大変なことです。それでも残りの１割は良いことですから、それを大切にしてください」
【編集後記】
真摯な眼差しで取材に応じる氏の姿から、「一言一句漏らさず聞きかねば」と、こちらの熱量も高まる。
家族からは「仕事が趣味。ずっとオン」と評されるが、「楽しみながらやってるから、ずっとオフとも言えますね」と返す。ストイックさの中にユーモアを忘れない姿もまた魅力的だ。
インタビューとは〝セッション〟だ。その場その時でしか聞けない話がある。それは私にとって取材の醍醐味であり〝幸せ〟である。
（本紙記者 佐々木雄嵩）
【企業情報】
会社名／㈱ＪＵＮＫＩ建設
代表者／丸山毅
吹田営業所／大阪府吹田市山田東２丁目10－８
℡／０６－６１５５－５６５２
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