新作映画が出るたびに、どの映画を観ようか悩む人も多いのでは?シリーズ「シネマティック・ロンダン」では、フリーアナウンサーであり、映画パーソナリティーでもある津田なおみ氏による、おすすめ映画のレビューをいち早くご紹介します♪
私たちは、人生の選択を、目の前に見えていることだけに頼りすぎていないでしょうか。本当に感じている気持ちは、知的に感じる事とは違うということに気づいているでしょうか。『エマの瞳』はそんなことを考えさせられる作品です。 『ベニスで恋して』(2000年)のイタリアの名匠シルビオ・ソルディーニ監督は、原題の『Il colorenascosto delle cose(事物の隠れた色)』について、直接見えないけれど、後になってから大事な何かが明らかになることだと語っています。欺瞞だらけの男性と盲目の女性との、イタリアを舞台にした恋の物語です。 ローマの広告代理店に勤めるテオ(アドリアーノ・ジャンニーニ …
若者の青春ストーリーのような映画タイトルですが、本作はハリウッド創生期から1950年代まで活動を続け、100本以上の映画に出演した喜劇コンビ、ローレル&ハーディの晩年を描く温かな物語です。 1953年、芸人コンビ、ローレル(スティーブ・クーガン)とハーディ(ジョン・C・ライリー)はイギリスでライブツアーを行うことになりました。1920年代後半から1930年代にかけて、2人はハリウッドで黄金時代を築き上げましたが、プロデューサーと決裂してから活躍の場がなくなっていました。そんな2人にとって、このツアーは復活を賭けた最後の大勝負。経済的にも苦しい状態でしたが、芸の腕前は一切衰えておらず、2人のこと …
1920年のデビューから、100年で20億冊もの売り上げを記録している作家といえば、誰かご存じですか?ミステリーの女王、アガサ・クリスティー(1890~1976)です。私も中学生の頃にハマった時期がありました。登場人物達は面白いキャラクターばかりで、それに魅了されているうちに、巧みなトリックによって、どんでん返しに驚く。だからといって、ストーリーが難しいわけではなく、シンプルで読みやすいのがお気に入りでした。 『オリエント急行殺人事件』や『そして誰もいなくなった』などは、何度も映画化されているのでお馴染みの読者も多いと思いますが、1949年発表の本作『ねじれた家』は、なんと初映画化です。原作に …
私たちがよく知っている“貞子”が出てくる「リング」を筆頭に、「呪怨」「着信アリ」「富江」など、日本映画界でホラー映画が大きなウェイトを占めた時期がありました。その評判は海外にも及び、リメイク権を買い取ったハリウッドは、 日本版のリメイク『ザ・リング』シリーズや『THE JUON』シリーズなどを次々と製作し、世界的なJホラーブームが起きました。しかし、そのブームは去り、今、世界を席巻しているのは スパニッシュ・ホラーです。独特なテイストで強烈なインパクトを放つものが多いスペイン発のホラー映画。今回は『マローボーン家の掟』をご紹介します。 森の中にひっそりとたたずむ大きな屋敷。そこに暮らすマロ―ボ …
映画を見に行く時、タイトルから様々な想像をして出かけるものですね。「希望峰の風に乗せて」から想像するのは、青い空、どこまでも続く大海原、セーリングする爽やかなヒーロー。そんな主人公がレースに出て困難に打ち勝ちながら優勝する。そんな物語かと思っていたら、予想外の結果が描かれ驚倒しました。しかも実話だというから二度びっくり。 1968年、米露が宇宙開発に力を注いでいる中、英国は海洋冒険ブームに沸いていました。そんな中、単独無寄港世界一周という過酷なヨットレースが開催されることになります。ベテランセーラー達が名乗りを上げる中、外洋にすら出たことのないビジネスマンのドナルド・クローハースト(コリン・フ …