お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

【城の歴史47】城に置かれた陸軍の軍事施設

幕末から維新の動乱を経て、新政府は明治元年(1868)に発足しました。政府は、旧幕府や幕臣の領地を没収する「版籍奉還(はんせきほうかん)」や、藩を廃止する「廃藩置県(はいはんちけん)」の行政改革をするなどして、近代国家への道を歩みはじめます。新しい日本にとって何よりも重要な事案は、国家の独立を守るために、欧米列強と肩を並べる強国をつくることでした。 とはいえ、明治維新直後の政府を支えた軍事力は、薩摩・長州・土佐のわずか3つの藩の兵士だけです。そのため政府は、江戸時代の幕藩体制下での藩兵や旧武士団を解体して、全国統一的な常備軍を編成することが火急の問題でした。 兵部少輔(ひょうぶしょうふ)となっ …

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