お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

【城の歴史42】江戸時代の城の補修事情②石垣編

前回の記事では、姫路城を例に、建造物に関する江戸時代の補強・補修工事についてご紹介しました。今回は石垣に関する補修工事についてご紹介します。 その前に、江戸時代の城の補修ルールについてご紹介しましょう。元和元年(1615)に制定された「武家諸法度」によって、大名が居城を補修する際は幕府に報告することが決まり事として定められました。この時の武家諸法度を発布された年号から「元和令」といいます。武家諸法度が制定されるまでは、城の築城だけでなく、改修や修理は居城としている大名の一存で行われていました。しかし、城の築城が禁止されるだけでなく、改修や修繕までもを幕府が取り仕切り、事前の届出制としたのです。 …

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