お城カタリストの城語り

日本には現在もかつての姿をとどめている城が12箇所あるという。古くは国府の守備の拠点として、そして武士の時代には、武士の居住地と敵からの侵入を防ぐためのバリケードとして作られた日本の城は、やがては政治の拠点としてその役割を変えてきた。シリーズ「お城カタリストの城語り」は、お城カタリストの野口紀美氏が、城の歴史にスポットを当て、我が国の歴史や文化を分かりやすく解説する。

天下を掌握した家康の城郭戦略「一国一城令」

慶長20年(1615)5月、大坂夏の陣で豊臣家を滅ぼし、ついに家康は天下を掌中に収めます。将軍職を子の秀忠にゆずり大御所となった家康は、幕藩体制確立のための改革を次々と断行しました。その第1弾が、大坂夏の陣の2ヶ月後に発令された「一国一城令」です。 一国一城令は、その名の通り、大名の城は一つの国に一つの城のみと定めた法令です。居城や政務を執り行う一つの城だけが存続を認められ、その他の支城や砦はすべて取り壊すという、とても厳しい命令でした。 関ヶ原の戦い後から大坂夏の陣までの15年間は、「慶長の築城ラッシュ」と言われるほど、城づくりが盛んに行われた時代でした。けれどこの一国一城令によって、全国の …

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