全日本作法会で20年以上、作法に携わり、企業や大学にてマナー研修を実施している筆者が送る日本の礼儀・作法に関するチャンネル。 一口に礼儀・作法といってもそこに隠されている、込められている日本の心、文化について発信していきます。
ひな遊びに形代が使われ、その形代が人形になっていきました。人形は、尊王飾りから江戸時代になると、添える人形が増えていき、豪華なひな壇飾りが出てきます。 七段飾りは、平安時代の宮中の結婚式を表しているとも言われています。一段目は、天皇、皇后陛下。二段目は三人官女。女雛のお付きの女官です。私的な生活管理から雑務まで行います。非常に優秀な女性チームです。中央の女官は、眉毛を剃り、お歯黒をしているので既婚女性でリーダー格です。当時、結婚した女性も仕事を持っていたことを表しています。 三段目は五人囃子。五人囃子の顔は他のお人形に比べて幼いです。元服前の少年たちです。向かって左側から太鼓、大鼓、小鼓、笛 …
3月3日は「雛祭り」または「上巳の節供」と言われています。厳密に言えば、「雛祭り」と「上巳の節供」は別です。 「雛祭り」の起源は複数あるようですが、平安時代、京都では貴族の子女のあそびとして行われていたと記録があります。小さな御所風の御殿をしつらえ飾っていたようです。 一方で、「流し雛」という風習も、平安時代にはありました。幼児の死亡率が現代では考えられないほど高かった時代。親たちの願いの一番は子供の健やかな成長でした。枕元に「形代(神霊が依りつく依り代の一種)」を置き厄除けとしており、一年の災いを受けてくれた形代を海や川に流します。形代は枕元に置くだけでなく、それで子供の体を撫で、厄を形代 …
「うめは咲いたか、さくらはまだかいな」 江戸小唄の一節です。立春が過ぎたら、梅便りが待ち遠しくなります。 梅便りが届いたら、次は桜の開花のニュースを心待ちになりますね。 「うめ」と「さくら」は日本人が最も好きな花です。 「うめ」は春の訪れを知らせてくれます。原産国は中国ですが、日本に入ってきたのは弥生時代、または奈良時代に薬木として遣唐使が持ち込んだという説もあります。 それ故、奈良時代から平安時代初期までは、うめの花が愛でられています。 『万葉集』には118首におよぶ「うめ」を題材にした和歌が納められております。「さくら」を題材にした和歌は44首にすぎません。 天平2年(730年)1月1 …
現代、2月11日は「建国記念の日」として祝日となっています。「建国記念日」ではなく、「建国記念の日」なのです。2月11日が「建国記念日」としたら、その日が日本建国の日となり、国の誕生日となるのですが「建国記念の日」となると建国されたことを祝う日という意味になり、いつ建国されたかは明らかにされていないのです。 さて、「建国記念の日」は昭和23年までは「紀元節」となっていました。「紀元節」とは、古事記や日本書紀において、初代天皇とされる神武天皇の即位日をもって定められた祝日です。祝祭日の四大節、四方節(1月1日)、紀元節(2月11日)、天長節(今上陛下の誕生日)、明治節(明治天皇の誕生日)、の一 …
日本には多くの「年中行事」と言われる慣習があります。何百年も、いえ千年以上受け継がれてきている行事もあるのです。ほとんどの日本人がスマホやパソコンを持っており、宇宙旅行も夢ではない時代になっても多くの人たちは年中行事を意識しています。 何故、現代でも年中行事は忘れられることがないのでしょう?そのことを考える前に、年中行事のおさらいをしておきましょう。・一月 正月 人日の節供 小正月 左義長・二月 節分 初午 針供養・三月 上巳の節供 春分の日 彼岸・四月 灌仏会 花まつり 花見・五月 八十八夜 端午の節供 母の日・六月 衣替え 夏至 父の日・七月 七夕の節供 土用・八月 八 …