短期大学卒業後大手地方銀行に長年勤務 着付けを習うことで、日本の文化に興味を持つ全日本作法会で20年以上、作法に携わる。 企業や大学にてマナー研修を実施
ビジネスの場で、初めてお会いする方に名刺をお渡しする場面は多いです。ビジネスマナーの研修では必ず名刺交換の項目が組み込められています。さて、名刺は「名紙」ではなく、何故「名刺」なのでしょう。自分の名前を記してあるのなら名前の紙で「名紙」でも良いと思うのですが。 「名刺」と表されるのは、その始まりにありました。「名刺」は中国の後漢時代が始まりとされています。高官の邸宅を訪れ、面会を申し込むときに門前に用意されていた「刺」と書かれて木の箱がに、訪問者の名前を板に書いてその箱に入れるという慣習があったようです。現代の名刺の使い方とは少し違いますね。日本では、江戸時代に、訪問先が留守の場合和紙に墨で一 …
美しい所作の基本は姿勢にあります。立った時に、頭の先と、背中の下あたりちょうど尾てい骨の位置を意識してみてください。頭の先から尾てい骨まで一直線の イメージで立ちます。 ・手は五本の指を揃えて、肩の力を抜いておろします。 ・踵をつけて、重心は足の親指の付け根におきます。 ・顎は軽くひいて、視線はまっすぐ前。 ・お腹を引き締めます。 この立ち姿がいろいろな所作の基本となるのです。 「礼によって始まり、礼によって終わる」という言葉を聞いたことがありますか。「礼」とは相手への敬意、感謝の型です。「お辞儀」が代表的な形です。お辞儀にも歴史があります。 ≪魏志倭人伝≫には倭人は〃大人に対して拍手 …
今年も各地で花火大会が催されています。街や電車は娘さんの浴衣姿が多く見られます。今や、市民権を得た浴衣ですが、本来は湯上りに素肌に着る衣です。浴衣は平和時代、入浴するさいに着用されていた「湯帷子」が原型とされています。ゆえに素肌の上に着用する、いわば寝巻でした。本来は外出着ではありません。年配の女性は、浴衣姿で電車に乗るなんて考えられないと仰います。言ってみれば、パジャマで電車に乗っているようなものですから。 そうは申しても、今や若い人を中心に、夏の外出着となった浴衣を認めないわけにはいきません。大人の女性が同じように着るかどうかは別として。外出着として着用するのであれば、せめて浴衣姿を美しく …
今年も猛暑が続いていますが、季節は秋に流れています。 旧暦でも新暦でもお盆が過ぎると、一年の終盤に近付いていきます。旧暦の八月一日は「八朔」と言われ、五節供には入っていませんが、「田の実の節句」とも云われていました。農耕地域では、早稲の実がなり、初穂をお世話になっている人に贈る風習があり、「頼み」と「田の実」をかけ、武家社会や公家の間でも、日ごろお世話になっている人(頼みあっている)に感謝の気持ちを込めて、贈り物をするようになったようです。これも現代のお中元の原点の一つかもしれません。 「八朔」の行事は古くから、記録に残されていますが、ことに江戸幕府は、お正月に次ぐ祝日とされています。徳川家康 …
日本人は律義で、約束を必ず守る民族、と世界では知られています。たしかに、外国の人は良く言えば大らかなのか、時間はあまり気にされないようです。 先日も、知人の事務所に遊びに行き、そろそろ帰ろうかと思い、立ちかけたとき、知人が「今日はもう少ししたら、近所の外国人が来るから会っていって」と言うので、待っていました。ところが、10分過ぎても20分過ぎても姿を見せません。連絡もありません。30分待ったのですが、もう待っていても仕方ないと思い帰宅しました。 知人も「さすが外国人。時間を気にしないわね」とあきらめ口調です。 これが、日本人なら、どうしたのだろう、何かあったのかな、など余計な気をまわしたりしが …