四大文明とは、メソポタミヤ文明、エジプト文明、インダス文明、黄河文明であり、この4つの文明が最初に起こり以後の文明はすべてこの流れを汲むという歴史観がある。日本もモンゴルも黄河文明やそれに続く長江文明の影響を受けてきた中華の周縁国である。 現在の日本は黒船来航を契機に、明治時代に西欧の文明を取り入れ、西洋化=近代化に向けて既存の文化や習慣を大きく転換させた。文明という言葉は福沢諭吉がCivilizationを訳したのが始まりで、「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」と言われたように、文明という言葉は庶民の間にも、ヘアスタイルにも認められていった。 文明が生じるには巨大な人口の出現を …
前回(遊牧民・農耕民)から 一方、農耕民の日本人の場合はどうであろうか?著書名も著者も忘れてしまったのだが、その著書には農耕民の特徴が見事に記述されており、大いに納得させられた記憶がある。農耕民といえども小麦文化の地域と米文化の地域では、その特徴が違うというものであった。 小麦は一度種を蒔けば、そんなに世話をかけなくて収穫を迎えることができるらしい。一方、米は苗代を作り水を田に満たし田植えから稲刈りの時期まで手間をかけて育てていかなくてはならない。この水を利用しなければならないということが、実に大変なことだという。なぜなら、水は上から下に流れていくからだ。田植えをするにも、上の田の農民が水を …
昨今、日本においてはインバウンド需要の増加により都会はもちろんのこと地方にも外国人の姿をよく見かけるようになった。そんな環境下で、外国人が絡む何らかのトラブルがあったりすると、それは外国人だからとか、文化が違うからとかの理由づけがしばしばなされるが、よくよく考えてみるとその出来事はそんなにも特異ではなく、日本人の間にもたまに生じるトラブルであると思われる事はよくある。永きにわたっての文化・風習から身についた習慣や社会性の違いから、狩猟民や遊牧民や農耕民などという分け方がなされ、「やっぱり、狩猟民は違うなぁ」なんていうような感覚で、トラブルの原因を理由づけられ、納得することもある。 私がモンゴル …
オオカミ② 私たち人間は動物種としてはホモ・サピエンス・サピエンスと称される1 属1種の存在で、かつては他にも多くいた人類のうちから現生人類としてただ一つ生き抜き、動物種の中で現在最も繁栄している存在である。現生人類の祖先はミトコンドリア DNAの分析から約320万年前にエチオピアに暮らしていたルーシー(ミトコンドリア イヴ)という女性を起源していることは今日明確である。そして13 万年前ごろに、現生人類はアフリカの地からユーラシアにはじめて移動拡大した。 そのユーラシアの地には約40 万年前からネアンデルタール人(ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス)と呼ばれる人類が生息していた。しばら …
オオカミ① 私は約5年前からモンゴル国を行き来し、現在はモンゴル国で化粧品販売の小さな会社を経営し、年に十数回は訪問している。私が約5年前の夏に初めてモンゴル国を訪れた時から、いろいろな面で日本との違和を感じ、その事柄から学んだことを、このロンダンの中で再考して伝えていくことで、読者の方々と私自身が日本とモンゴルを含む世界をあらためて見つめ直すことができればと考えている。 モンゴル国という国から日本人がイメージするのは、相撲力士、草原、チンギス ハーン、乗馬など様々であろう。浅野忠信氏がチンギス ハーンを演じた「モンゴル」という映画を思い出す方もあるだろうし、北方謙三氏が著した「チンギス記 …